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【美味礼讃】海老沢泰久(著)読んで、本物を追い求める熱意は、人の可能性を無限大にさせると感じました。

 

こんにちわ!KENG(ケングー)@Grimpeur_KENG】です!

 

来週はいよいよクリスマスです。クリスマスプレゼント何にしようかなぁっと悩み中。

周りの友人はロレックスを買ったりしていて少しうらやましい気もしますが、残念ながら自分の身の丈にあわない。

ボーナスは税金の支払いで消えたし、来年度の税金の支払いのために少しは貯金しないと。

 

さて、愚痴で始まってしまいましたが、今回のブログは蔵書紹介です。

 

今回紹介する【美味礼讃】は、1994年に第1刷が刊行された、大阪阿倍野の辻調理師学校校長の辻静雄氏の半生をモデルにした架空の伝記小説です。

 

著者である海老沢泰久さんは、ヤクルトの監督として優勝を成し遂げた広岡達朗をモデルにした『監督』や、中嶋悟のF1デビューを追った『F1走る魂』などを手掛けるノンフィクション作家さんで、いずれの本もノンフィクションゆえに非常に面白く、一気に読み込んでしまう私が好きな作家さんの一人です。

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あらすじ

大阪で新聞記者として働く辻静雄は、あるきっかけで天王寺割烹学校の校長である辻徳一の娘の辻明子と出会う。

 

辻明子に恋をし、婿養子となった辻静雄は、新聞記者を辞めて辻徳一が経営していた天王寺割烹学校を継ぐことになる。

 

天王寺割烹学校では、裕福な主婦や花嫁修業中の娘に一通りの料理の方法を教えていた学校だったが、辻静雄はその学校の運営をしていく将来に興味を見いだせなかった。

 

「何か自分にしかできない創造的なことをやりたい」

 

そんなことを考えていたある日、辻静雄は「調理師法の行方」という新聞のコラムを目にした。

 

料理人の資質と技術向上を目的として「調理師」という資格を定めた法律だが、かんじんの「調理師」を養成する学校の設立が立ち遅れ気味だったのだ。

 

辻静雄は、直感的にこれだと思い、料理人を育てる調理師学校の設立を決心するのである。

 

辻静雄は、学校の設立に伴い、目玉になるような料理人を探したり、生徒を集めるために新聞に公告を出したりなど、忙しい日々を過ごしていた。

 

腕の良い料理人も獲得し、無事に生徒も集まって、調理師学校は良いスタートができたと喜んでいたのも束の間、辻静雄はある出来事を境に愕然とする。

 

それは、学校で雇った料理人に個人的な理由でフランス料理を習いはじめた時だった。

料理人に教えてもらったフランス料理の作り方が、辻静雄が読んだフランス料理の専門書の「ラルース・ガストロミック」とまったく違っていたのだ。

  

 当時の日本で提供されていたフランス料理は、「本物のフランス料理」とはかけ離れたものだと気づいた辻静雄は、「本物のフランス料理」を知るために、妻の明子と共にフランスへ旅にでたのである。

 

フランスの地で、様々なフランス料理の巨匠と出会いながら、「本物のフランス料理」を舌で感じることができた辻静雄は、その記憶を頼りに日本に「本物のフランス料理」をもたらしていくのである。 

 

美味礼讃を読んで

海老沢泰久さん自身はノンフィクションを手掛ける作家さんです。

 
ノンフィクションの作品の魅力は、その人の人生が描かれているので大変貴重な擬似体験ができることだと思います。

 
それゆえに映画でも、小説でもノンフィクションの作品は私の中では大好物なのですが、今回の【美味礼讃】はあくまでも架空の物語であり、現存する実在の人物や組織に似ていようとも全くの偶然であると海老沢泰久さんはおっしゃっています。

 
ですが、読んでみると、この本ノンフィクションなんじゃないの?

 

え? これ本当に架空の物語なの?と疑いたくなるような出来栄えです。

 

読み始めたらページをめくる手が止まりません。

 

熱意次第で、可能性は無限大に

独自の文化やしきたりが尾を引き、なかなか変革することができず、むしろ変革しようとすると、人は恐れをなして退いたり行動しなくなるなることもしばしばあるかもしれません。

 

でもその荒波に抗い、さらに変革を追い求めていくと、人はその熱意に引き込まれ、同調し、成長していきます。

 

さらに皆が同調し、同じ目標に向かって成長していくことは、それだけで仕事が楽しくなり、仕事が楽しければ、より円滑に仕事がまわり、効率も良くなります。

 

まさに、人の熱意次第で、人が成長する可能性は無限大になるのです。

 

作中では、辻静雄氏が本物のフランス料理を追い求めることによって、辻静雄氏を取り巻く人々が次々に突き動かされ、新たな出会いが生まれていき、成功へと導かれていきます。

 

そんな人間の可能性が垣間見え、明日からの仕事にモチベーションを上げてくれる作品にもなっています

 

辻静雄氏の功績

 もともと私は辻静雄氏という人物を知らなかったのですが、本作を読み進めると、辻静雄氏という人物に大変魅力を感じてしまいました。

 

 さきほども述べた辻静雄氏の本物のフランス料理を追い求める熱意に関しては、読者皆が好感をもてるのではないでしょうか。

 

読み進めるにつれ辻静雄氏という人物を好きになり、応援したくなる。

 

海老沢泰久に見事にしてやられてしまいました。

 

辻静雄氏がフランスへ旅に出るまでは、 それまで日本のレストランで出されていたフランス料理は、どこへ行ってもハンを押したように同じものしか出てこなかったようです。

 

3000種類もあると言われるフランス料理を日本の料理人は20種類も知らなかったという現状の中、辻静雄氏が日本に「本物のフランス料理」をもたらしたことは本当に大変な功績だと思います。

 

個性的なわき役たち  

作中では辻静雄氏の右腕なる山岡亨氏という人物が登場してきます。

 

この山岡亨氏と辻静雄氏との歯切れの良いやりとりは読み進めるうちに研ぎ澄まされ、ストーリー進行をテンポ良くしてくれます。

 

他にも、辻静雄氏をライバル視する金丸浩三郎氏というエリート気取りのキャラクターも登場します。

 

辻静雄氏が設立した料理学校に負けじとあらゆる手段で受講生を確保しようとしたり、姑息な手段で東京進出を防ごうとしたりもしますが、結局は負けてしまい、辻静雄氏の好感度を高めてしまいます。

 

しかし、そんな残念なキャラクターでも非常に愛おしく魅力的で、この「美味礼讃」のおもしろさを引き立たせてくれる欠かせないキャラクターでもあります。

 

まとめ

  私の母は、40年前に友人と一緒に辻調理師学校で料理を学んだそうです。今でも学校が出している料理本を大切に保管し時々使ってもいるそうです。

 

そんな話を聞いたら、歴史が垣間見え、ロマンを感じます。


辻静雄氏に関する書籍は、神保町の古書店に行ってもどれも高価なものばかり。特に『フランス料理 理論と実際』などの古書は、探してもなかなか手に入りません。

 

国立図書館なら絶版のものも見ることができるので、どうしても見たかったら足を運んでみるのも良いかもしれません。

  

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